腕に回した力を込めて、顔を上げた椿と見つめ合う。

ん?と何気なく首をかしげた椿が今日もかっこいいから、すごくすごく愛おしくて、独り占めしたくなる。



「……わたし、も」



顔が熱い。

咄嗟のことできょとんとした椿は、どうやらわたしがいつものように「うん」と返事したと勘違いしたらしい。そのままじっとわたしを見つめること数秒。



「……、え? いまなんて言った?」



ようやく勘違いに気づいたようで、聞き返してくる。

……すぐ気付いてくれないと逆に恥ずかしい。



「だから、わたしも……すき、って」



本当に恥ずかしいから声が小さくなったけど。

椿にはちゃんと届いたようで、目を見張る。




「え……、や、ごめん、え?」



「……ごめんってなに」



「ちょ、待っ……え?本気?」



目に見える慌てぶり。

あまりにも動揺しているからなんだか逆に冷静になって、「落ち着いて」とすこし冷めたわたしの声に、ようやく椿が思考を正す。



「あ、えっと……

本気で俺のこと、好きってこと?」



「それ以外の何に聞こえるの?」



「むしろはなびはなんでそんな冷静なの?

あー……まじ、か。びっくりした」