「ごめんな。……嫌だった?」



「……恥ずかしかった」



「ふ。……抱きしめていい?」



聞けば、じっと俺を見上げるはなび。

「いい」とは言ってくれそうな表情じゃないな、と思っていたら。身体に回される腕と、甘えるように胸に顔をうずめてくる彼女。



……可愛すぎるから。

思わずぎゅっと抱きしめ返せば、「いいとは言ってない」って拗ねたような声がまた可愛くて。



「だめとも言ってねえじゃん?」



昨日よりも今日の方が好きだ。

日ごとに増していくはなびへの気持ちは、まるで萎むことを知らなくて。抱きしめるたびに鼻孔をくすぐる甘いはなびの香りは、俺だけのもの。




「……好きだよはなび」



「……うん」



「……すげえ好き」



目を閉じる彼女。

キスの合間ですみれとすぐに打ち解けた理由を聞いてみれば、はなびは指に俺の髪を絡めて、遊びながら。甘く目を細めて、微笑む。



「『わたしも、椿のこと大好きだから。

すみれちゃんと一緒ね』って、言っただけよ」



「……その大好きの意味は?」



またキスを落とそうとした俺のくちびるに人差し指を押し当てるはなび。

それから「ひみつ」と笑うその姿に。まあこんな日も悪くないかと深追いすることなく、もう一度キスを落とした。