せっかくだからはなびの買ってきてくれたお菓子とジュースを出すか、と。
一度キッチンに引っ込めば、リビングからはすみれのはしゃぐ声が聞こえてくる。「きゃー」と楽しそうな声に、顔を覗かせてみれば。
すみれがはなびの膝の上に向かい合って座って、ぎゅーっと抱きついていた。
天使……、じゃなくて、何してんの。
「すみれ……迷惑かけるなよ」
断じて羨ましいとか思ってないから。
はなびに抱きついて嬉しそうな顔してるすみれが羨ましいとか、そんな大人げないことは断じて思ってないから。
「おねーちゃん、すきー」
「……ごめん今俺がキッチンにいる間に何があったのか詳しく教えてもらっていい?」
なんでもうそんなに仲良くなってんの?
いや、仲良くなってくれんのは嬉しいんだけど、一瞬の間に何があったんだよ。
「あのね、おねーちゃんがねー、
おにーちゃんのことす、」
「すみれちゃん一緒にお絵かきしよっか?」
「! お絵かきする……!」
……はなびさん?
なんでいまナチュラルに手ですみれの言葉塞いだの?
っていうか俺が何?と。聞いたところで既にスケッチブックに夢中なすみれは教えてくれないだろう。
お兄ちゃんは悲しいよ、すみれ。
「おねーちゃんのすきなお花なにー?」
あきらめてキッチンに再度引っ込むと、聞こえてくるのはすみれのそんな声で。
すみれは花の絵を描いてるらしい。



