「はなびと付き合えたら……
そしたら何か変わるかなって、そう思ってたけど」
付き合えたら、特別になれるんだと。
そんな風に思っていた自分が情けなくて笑ってしまう。そこに恋人という名前がついたとしてもつかなかったとしても、すべては感情次第なのに。
「ごめん、」
「どうして……椿が謝るの」
「……もう既に、足りないんだよ」
まだ付き合って2日なのに。
浮かれている間もないほど、はなびの周りには次から次へと問題が出てくる。あの人がどれだけはなびの特別だったのか、痛いほどに知ってしまった。
……対等なんかじゃ、もうすでに、足りない。
「……どうしたら埋められると思う?」
「、」
「俺と、はなびの気持ちの差」
こんなにも愛おしいのに、伝えてるのに、通じ合えなくて。
片想いの頃の方がマシだったんじゃないかと、そんな風に今の関係を卑下するような自分の考えが、たまらなく嫌になる。
それでいいと言ったのは、俺の方なのに。
「……ごめんね、椿」
その一言が、はなびの答え。
わかってた。そもそも愛に偏りがあるなら、長続きなんてしない。俺はあの人みたいに頭が良くないから、その愛をカバーできる能力もない。



