「げっ、みや、」



「なんでここにいるの? マヤ」



「お前こそ……

っていうか、『花舞ゆ』のお姫様はソッチなんだろ?」



ソッチ、と言われたのは当然はなびで。

話の流れで何気なく視線をはなびへと向けた俺は、思わず目を見張る。──え?



「……はなび?」



みやちゃん、があっち側の男と知り合いらしい、という断片的な事実に気を取られていたけれど。

大きな反応を見せていたのは、はなびの方だった。



赤い表情と、心なしか潤んだ瞳。この表情。

あの人の前で見せてたのと、同じ、表情。




「、」



ドクッ、と心臓が嫌な音を立てる。

どうか俺の気のせいであればいい。なのにはなびの表情は、どうしようもなく女の子で。俺の呼びかけにも反応せずに、ただその男を見据えてる。



「おひさしぶりです、お姫様」



「ま、や、」



「お迎えに上がりました」



見ていたくない。だって俺じゃその事実を受け止めきれないって、わかってるから。

だから、はなび。──嘘だって、言って。



「会いたかった……っ、マヤ、」