たぶん、普段の癖。妹がいるから面倒見のいい椿は、きっと何を考えるでもなく、払ってくれるんだろう。

……分かってるけど、込み上げてくるこの恥ずかしさはどうしたらいいんだろう。



「椿、砂くらい自分で払えるから……」



ペディキュアだって施してるけど、脚先まで手入れできてるかって言われたらそんなことは無いし。

片脚をサンダルから抜いた状態で不安定なのを言い訳に、椿の肩に置いた手で弱々しく彼の服を掴む。



「ん?」



椿がそれに気づいて顔を上げるから、必然的に上目遣いになる。

何か駆り立てられるみたいに、背筋がざわざわした。



「もうほとんど落ちたと思うから、大丈夫……

帰ったらお風呂入るし、」



さっきから変だ。

触れられることに恥ずかしくて落ち着かなくなる。椿は当たり前のように接してくれているのに、わたしがすごく過剰に反応してるみたいで嫌だ。




「ん。

サンダルの砂払うからそのまま手ぇ置いてな」



っ、だから……!自分で砂くらい払えるのに!

先に彼がサンダルの砂を払ってくれるから、脚の置き場がなくなって不安定な身体を支えるため、置いた手に少しだけ力を込めた。



「反対は自分でやるか、ひゃ……っ」



自分でやるから、と。

言いかけたところでまた脚に触れられた驚きで、びっくりするくらい女の子らしい声を出してしまった。それにまた羞恥が勝って、何も言えなくなる。



「はなび」



「な、に?」



動けないままのわたしを見上げた椿の指が、試すようにわたしの足の甲を撫でる。

それだけでゾクッとして、でも、嫌じゃなくて。