この時はなびはそう言って誤魔化したけれど。

今なら、あれは。「あんまり遊びすぎないようにね」って言おうとしてたような気がする。……完全に俺の勘でしか、ねえけど。



「んー……ねむい」



「お前いいのかよ?

あれだけ啖呵切ったくせに何も準備してねーじゃねーか。明日だろ、はなびの誕生日」



「だいじょーぶだって。

デートプランなら決めてあるし、誕生日プレゼントもちゃんと準備済みだし。……出てくれなかったら、あの人にプレゼント頼んで帰ってくるから」



「……まあ、はなび次第だからな」



夏休みは補習に呼び出されるし、ついでに雑用までさせられるし。

めんどくさいことこの上なかったけど、数日前に補習もやっと終わって。『BLACK ROOM』との話し合いなんてのも、少しずつ進んでる。



まあ、一筋縄ではいかなさそうだけど。

夏休みが終わるまでに話が纏まればいいな、程度だ。明日、俺以外のメンツはどうやら向こうと会ってそれの話し合いをするようで。




「参加出来なくてごめんな。

……だめだったら、俺も途中からになるけど会議参加するから」



「いいよ、別に参加しなくても。

……そうやってまた我慢しようとするでしょ椿は」



「大丈夫だって。

むしろはじめから、だめだと思って行くつもりだし。……どうせ行けばシイもいるだろ」



だから行く、と。

告げた俺を見たのはすぐそばにいた芹で。……なんでこいつそんなに真顔なんだ。



「なあ椿」



「……なに?」



「お前、俺とそのダチとどっちが好きなんだよ」