「……あーあ。

せっかく復活してたのに、椿がまた落ち込んでる」



「つーちゃん、仕方ないよー。

テスト期間だったし、はなちゃんも忙しくしてたんだってー」



「………」



「……お前ほんとめんどくせーな」



ソファに沈んでる俺に、遠慮ない言葉をかけてくる氷見が丘の3人組。

夏休みに入ったからもうどうでもいいんだけど、俺の定期テストの結果は散々だった。はなびのことで頭いっぱいなのに、勉強なんかしてらんない。



……はなびのことがなくても、勉強しねえんだけど。

おかげで単位が危ういらしく、夏休みに補習まで入れられたし。それでもまあ、それだけやっておけば進級させてくれるんだから楽なものだ。



どうせシイも単位足りなくて補習だろうし。




「……椿」



見かねたように俺に声をかけてきたのは、染で。

ちらりと視線だけを上げれば困ったように苦笑した染は、「買い物行くか」と珍しく俺を誘う。



「……そんな気分じゃねえけど」



「椿だけじゃなくて、お前らも。

はなびの誕生日プレゼント買いに行くって言ってただろ。どうせ予定無くて空いてんだから」



「染ちゃん、今日日曜だから人多いよー?」



「……平日は俺が行けねえだろ、講習で」



ぽんぽんと頭の上で交わされるやりとり。

そもそもはなびは誕生日プレゼントなんか受け取ってくれんの?という俺の疑問は、そんな俺の表情に気づいたらしい染の言葉で解決した。