「……略奪すれば?」



「は……?」



「案外、いけんじゃね?

お前この間、まじではなびに手出した訳じゃねーんだろ?むりやり、はさすがに無理だろうけど」



同意の上なら大丈夫じゃね?と。

しれっと言ってくる芹。大丈夫じゃね?じゃねえよ、なんでそれが大丈夫なんだよ。それただの寝取りじゃねえか。



「珠紀コイツどう思う?」



「別にいいんじゃないの?

同意の上でなら、文句は言えないでしょ」



……だめだ何の役にも立たねえ。

毛先が今日もヴァイオレットに色づく穂を呼べば、ちょこちょこと駆け寄ってくる。




「つーちゃんなにー?」



笑顔の穂を見て、こいつが女だったら好きになってる男って多いだろうな、とぼんやり思う。

俺はたぶん、どう足掻いても、はなびだろうけど。



「珠紀と芹がさ、俺に略奪すれば?って」



「はなちゃんのこと?」



「そう」



「……つーちゃんのことを、はなちゃんが好きになるようにするなら、いいと思うよー。

でもむりやりは、だめ、かな?」



常識的な答えがかえってきて、ほっとする。

そうだよな、と思いながらも引っ掛かりを覚えて、ん?と首をかしげた。