わたしに身を寄せたノアのその声に、なぜか喉の奥が熱くなった。

空いている方の手でノアの背中に腕を回すと、ぎゅっと抱きしめる。それから「うん」と小さく答えると、彼が身体の力を抜いた。



「好きだよはなび」



「うん、」



「……愛おしすぎて、苦しい」



肩口に、顔をうずめてくるノア。

重なる体温が心地いい。そろりと顔を上げた彼の濡れた瞳と視線が絡んで、まぶたを伏せればキスされて、また熱を生む。



「はなび……好きだよ」



何度も、何度も。

この日の夜、彼は執拗なくらいに、そう囁いて。囁いた分だけわたしからも同じ言葉を求めると、そのたびに切ない表情をするから。




「……ノア、」



「うん、」



「いっぱい……好きにしていいよ」



そんな顔をさせてるのはわたしだって、すぐに気づいた。

少しもそんな欠片は見せないけれど、ノアは痛いくらいに愛に飢えた人だ。さみしいって言えないことを、わたしはよく知ってる。



わたしは甘え上手じゃないし、どちらかといえばノアと同じタイプ。

だけどお互いにさみしいことを、わたしもノアも、お互いによくわかってる。……だから、わたしにはノアが、ノアにはわたしが、必要だった。



「……俺だけ見てて、はなび」



──この人には、わたしが、必要だ。