……いつも散々俺のこといじって遊んでるくせに。

こういう時はちゃんとしてくれるから、やっぱり俺はどうしようもないぐらいこの場所が好きで。



たとえはなびと出会っていなかったとしても、『花舞ゆ』は俺の大切な場所で。

こうやって当たり前のように祝ってくれるメンツのこと、ほんとは、大事だと思ってる。



「……、ありがと」



「ん。じゃあケーキ食べようよ。

まあ近くのケーキ屋が正月で開いてなかったから、コンビニスイーツの寄せ集めなんだけど」



「うわぁ、いっぱい用意したねー。

つーちゃんどれがいい?」



「見てるだけでも胸焼けしそうな量だな」



……ぜったい素直には、言ってやんねえけど。

本気で。何よりも、大事だと思ってるよ。




『花舞ゆ』と、はなびと。

それだけで回っていた俺の世界が形を変えたのは。



「おかえり、椿。今から病院行こうか?

……椿が学校に行ってる間に、生まれたよ」



「え、まじで?」



「うん。性別は……せっかく言わないで欲しいって言ってたんだし、直接知ったほうがいいか」



「……、はやく、行こ」



あの日。俺がはじめて、"妹"を見たとき。

俺が、守らなきゃって。ただ真っ直ぐにそう思った。──俺の世界の中心に「妹」が加わったのは、その日だった。



1月2日の誕生花は、赤の椿。

白いすみれは、1月15日の誕生花。──すみれの花言葉は、「小さな幸せ」。