「椿はどうすんの? クリスマス」
「ん~?」
「家族増えるなら、一緒にいた方がいいんじゃない?
それか、去年と同じようにここで過ごす?」
首をかしげて、俺に問う珠紀。
特に彼女がいるわけでもない珠紀も、クリスマスはここで過ごすらしい。倉庫は23日からずっと、相手のいない野郎ばっかりで騒ぎ倒すんだろうし。
「はなびがいる日だけ来ようかな」
「椿。お前は予定あってもなくても3日とも参加な。
はなびの来た時だけ、なんていい思いはさせねえ」
しれっと返事したら、今までずっと2階にいたはずの現トップにがっつり絡まれる。
「えー」と嫌がってみれば、コバルトブルーの髪を痛くない程度で引っ張られた。痛いと大袈裟に言えば、彼はふっと口角を上げて。
「ちなみにお前が3日ともここに来るなら……
確実に1日ははなびにサンタコスさせるって約束してやる」
「3日とも来ます」
「……ちょろいなお前」
自覚はある。
珠紀にも冷めた目で見られたけど、そんなこと気にしない。俺は欲求に素直なだけだ。
「ちょっと待ってよ。
どうしてわたしの知らないところで勝手にそんな話……っていうか、乗らないでよ椿」
「だってはなびのサンタコス見たい」
はなびが不機嫌そうに頰を膨らませてるけど、やっぱりその姿もかわいい。
それから俺のことをじっと見つめて、何を言うのかと思えば。



