「弟でも妹でも俺ぜったい可愛がる自信ある」
「既に嬉しそうだもんね、つーちゃん」
「お前最近その話しかしてねーもんな」
たまり場に来た時もずっと、その話ばかり。
母さんの手伝いができるようにって、たまり場に来る頻度は減ってたけど。来るたびにその話ばかり。おまけに学校でもその話をしてることもあって、珠紀たちは随分呆れていた。
染だけは、まじめに聞いてくれてたけど。
やっぱり、持つべきものは染である。
「もしかわいい弟が生まれたら、
ほかの女の子じゃなくてわたしに紹介してね」
冗談まじりな口調でそう言って笑うはなびの頰を指でつまむ。
珠紀が「はなび年の差13は犯罪に近いよ」って薄く笑ってるけど。その薄ら笑いが怖い。
「絶対やだ。はなびが妹になるとか無理」
「無理ってなに……!?」
「っていうかお前好きな人いるじゃん」
これだけまわりにいい男揃いなのに、まだ生まれてもない存在に期待するのはやめてほしい。
もし生まれてくるのが弟で、本気ではなびを弟に取られたら俺がつらい。俺でいいじゃん。
「はなちゃん、クリスマス一緒に過ごしませんかって、先輩に声かけるんだよねー」
「は!? おま、マジかよ。
お前クリスマスにいねーんだったら、ここ野郎だけの無法地帯だぞ!?」
「……まだ誘う勇気、ないから。
いまのところは、ここで過ごすつもり、よ」



