とりあえずさっきの写真は消して欲しいと頼み込んでいるうちに、教師から「お前ら話してないでさっさとこっちに来い」と呼び出しを食らい。
結局写真のことは、うやむやになった。
消すか消さないかは、この際どうでもいい。
あの写真をはなびが見ることにならないならなんでもいい。……っていうかシイがはなびと仲良くしないならなんでもいい。
「……そうだ、」
「ん?」
「この間思ったことがあるんだけど」
「……思ったこと?」
シイが何かを思い出したようにそう切り出したのは、夕飯も軽いレクレーションも、そのあと部屋にもどってきて風呂も済ませた後のことだった。
ベッドでごろごろしてたシイが、視線だけをこっちに向ける。
「前に言ったでしょ?
『Bell』ではノアさんの彼女が噂になってる、って。もちろんあの子の話も出るんだけど、どうも、食い違ってる話が出てきたりするんだよね」
「……食い違ってる話?」
「そう。ノアさん、普段仕事に出る前まではリングしてて。
それが彼女とのペアリングだって言われてるんだけど、この間会ったとき、あの子指輪なんてしてなかったんだよ」
「……偶然してなかっただけじゃねえの?」
「でも『Bell』のうわさだと、
その彼女は肌身離さず指輪つけてるらしいよ」
……確かにそれを聞くと矛盾してるけど。
シイが話してるのはあくまで噂でしかなくて、どうにも信ぴょう性に欠ける。
「……ノアさん本当は二股かけてんじゃないかな、って思ったんだけど」



