慌ててシイのスマホを奪おうとすれば、シイはふっと笑って。
それから「なんでそんなに慌ててんの?」と、俺に冷たく言ってくるけど。
「シイがはなびに写真送るって言うから、」
「俺、"はなびちゃん"とは一言も言ってないよ」
「、」
……あれ。こいつなんて言ったっけ?
ああそうだ、あの子に、って言っただけで。……はなびに、とは、言ってなかったか。
「そんなに本命に勘違いされたくないなら、ちゃんと自分の行動に気をつけなよ。
……ま、そんな感じで椿最近遊んでくれないだろうけど、かなり本気らしいから許してやって」
そう言って、俺の肩に腕を乗せてくるシイ。
俺の両端にいた女の子たちは、ぽかんとして。それから、「なんだ」と残念そうに頰をふくらませた。
「本命いるならはやく言ってよー。
いい遊び相手だったのに、新しい男探さなきゃいけないじゃん」
「ほんとだよもーう。
さっさとフラれてあたしらのとこ戻ってきてよねー?」
不服そうにしながらも、面倒に絡まれることもなく。
いつの間にかシイのまわりにいた女の子たちもいなくなっていて、シイは「よかったじゃん」と楽しげに笑った。
「後腐れしない女の子たちで」
「……まあ、うん。
っていうか、シイが余計なこと言うからじゃねえの。はなびが好きでも付き合えるわけじゃねえんだから、俺遊び相手は欲しいんだけど〜」
「うっわ最低。やっぱ写真送ろ」
「嘘ですごめんなさい」



