「ねえねえ、夜部屋行っていい?」
「見つかったら面倒だから、だめ〜」
「いいじゃん、先生そんなに怒んないって」
集合してみれば、女の子たちが教師に見つからないように、俺らにこそこそと話しかけてくる。
自分で言うのもなんだけど、これでも俺はモテる方だと思う。……はなびが強敵なだけで。
「っていうかぁ、最近椿ノリ悪くない?」
右側の女の子が俺の腕に自分の腕を絡ませたかと思うと、反対にいた女の子は俺の左腕に「ずるい」と言いながら腕を絡ませる。
シイのまわりにも女の子が3人集まっているせいで、軽いハーレム状態だ。
野郎共が俺らのことをジト目で見てるけど、そんなことは知ったこっちゃない。
女の子は機嫌損ねるとめんどくさい。とりあえず、「そ〜?」なんて言いながら髪を撫でておいいたら、嬉しそうに笑みを向けてくれた。
……あーあ、んな期待した顔されても。
「椿、好き」なんて、すっかり恍惚とした表情を浮かべた女の子を見ても、どうやら全然俺の心は動かないらしい。
まあ確かに、悪い気はしないけど。
本気になられると話は変わってくるんだよな、と。ひとまず誘いを断るために、両方の女の子の額にキスを落としていたら。
カシャ、と。
突然鳴ったシャッター音に、視線を向ける。
「……何してんだよ〜、シイ」
「あの子に今の写真送信しようと思って」
「ちょい待てこらこら」
んなことされたら、本気で俺の片想い終わるからやめろ……!
一応遊んでることははなびも知ってるけど、あいつの前では女の子と接しないように今まで気ぃ遣ってたんだよ……!



