小6から、ひとつ歳を重ねて、学年が上がる。

俺らの地元は、そもそもかなり広いわけでもないから小学校では別々だった俺らも、6人とも同じ中学に進学した。



小学生から、中学生になるまでの約半年間。

俺は衝動的に動くことよりも、考えることが多くなって。その原因は、両親が離婚し、すでに母親には別の男がいるという事実だった。



先輩たちに、「椿大人っぽくなったね」と言われることも増えたけど。

でもそれは、俺に限ったことじゃなかったと思う。特に穂なんかは、幼さと危うさが消えて、随分と男らしくなったし。



逆にはなびは、薫り立つような危うい色気が日に日に増していて、惹き込まれてしまいそうになる。

きっと本人は気づいてないだろうけど、はなびにお近づきになりたい男は本当に多かった。



俺らが同じ学校でずっと一緒にいたから、直接何があったわけでもないのが唯一の救い。

告白されるたび、困ったように「ごめんなさい」と断っていたけれど。



「……でもやっぱり、

わたしたちの間に距離は必要ないと思うの」



そう言って、俺の隣に座ったはなびが、膝を抱えて小さくなる。

視線の先には、染も交えて芹たちが遊んでいた。




やっぱりこの場所は誰もあいつのことを"ずるい"なんて思わないんだな、と。

ふと、はじめて話した日の言葉を思い出した。



「綺麗な色ね、コバルトブルー。

……さすがに、朝学校で会った時は何事かと思ったけど」



「はは、みっちり教師に説教くらったよ。

途中でメンドーになって脱走したけど」



「また先生に怒られるわよ」



ふっと笑ったはなびが、俺に手を伸ばす。

ヤケクソで染めてみたコバルトブルー。なんでこの色にしたかって、ただ何となくなんだけど。



「……あなたが髪を何色に染めても、口調を変えたとしても。

わたしにとって、椿はずっと椿のままよ」



ためらいがちに持ち上げた視線が、絡む。

……ああ、もう。