俺と染には、明らかに何かと差があって。
だけどカリスマ性をもってちやほやされる染にだって、悩みくらいはある。そんな当たり前の事実に、すこしほっとした。
「……俺は嫌いじゃねえよ」
「、」
「ずるい、とか、そんなこと思わないって。
っていうか、ここにいるヤツはみんなそうだろ。……だから、気にしなくていいんだよ。まだ子どもだろ?」
「ふ……お前もまだ子どもだろ」
薄く笑う染を見て、そこでようやく表情が年相応だなと思った。
染に言わせれば、俺もこの時充分年相応ではなかったらしいけど。……おかしいな。我ながら子どもっぽい方だと思ってたのに。
でもまあ、こんな些細な会話を皮切りにして、俺らは仲良くなったわけで。
小6の、夏が目の前に迫る頃だった。
「つーちゃーん」
「んー? どした、穂」
「染ちゃんが呼んでるよー。
みんなと買い出ししてきたからつーちゃんにもお土産あるってー」
たたたと駆け寄ってきた穂が、そう言って俺の腕に絡む。
その手には甘そうないちごみるくのパックが握られていた。穂のふわふわした髪を撫でてやれば、えへへと笑う。うん、そこらの女子より可愛いなお前は。
とくに穂を引き剥がすこともなく染の方へ歩み寄れば何やら盛り上がってるようで。
近くにいた芹に聞いてみれば、どうやら先輩たちが染の幼なじみのことで盛り上がっているらしい。
「染、幼なじみいたんだ?」
カフェオレを受け取りつつそう口にすれば、「ああ」と一言。
……幼なじみ、ねえ。



