だから声をかけられて驚いたわけだけど。
大丈夫と言った俺の足にちらっと視線を向けた染は、「ちょっと待ってろ」とだけ告げて、ガレージの奥へと歩いて行った。
それからすぐにもどってきた染が持っていたのは袋に詰められた氷で、「冷やしとけ」と一言。
「それ、捻挫だろ。
あとで腫れて痛み増しても困るだろうしな」
「、」
「運動するの好きなんだろ。
ほかのヤツが楽しんでる中で安静にしてても、つまんねえだろうが」
じゃあいつも傍観者に徹してるお前はなんなんだ、と言いたくなったけど。
捻った部分が熱を持ち始めていることに気づいて、素直に渡された氷で冷やす。
ちなみにこれはのちに思い返して気づいたことだけど、あれは絶対に捻挫だった。
もしあのまま大丈夫、と放置していたら、本当にそのあと腫れて大変だったはずだ。
「お前も、参加してこれば良いんじゃねえの?」
端に追いやられている椅子に座ったら、どういうわけか隣に座る染。
ずっと思っていたことを聞いてみれば、染はふっと小さく笑う。……まじで小学生かよ、こいつ。
「俺がどっちかに入ると、"ずるい"んだと」
「、」
「運動全般得意だから、仕方ねえよ」
「おまえ、"いやみ"なやつだな……」
なんでもできるっていうのは、凄いんだと思ってたけど。
それゆえのプレッシャーとか、悩みとか。そういうのを染から直接聞いて、ああそうか、と妙に納得した。



