そんな事より、ダンが保健室に来るなんて、何かあったの?

「あの、ダン? 授業は? 具合悪いの? 怪我したの? どうしたの?」

「俺はどうもしないよ。それよりユズだろ。本当に大丈夫なのか?」

「えっと・・・。私、なんともないよ。元気です」

「はぁ? だって一輝からラインが来て。ユズが階段から落ちて頭打って意識がもうろうとしてるって」


もしかしてそれは一輝先輩が考えてくれた優しい嘘。

ダンをここに連れてきてくれたんだね。

「それ、一輝先輩の嘘です」

「はぁーー?! なんだよそれ」

ダンは頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。

「じゃあ、ユズは何で保健室にいるんだよ。しかも一輝って、何だよ」

「話せば長くなるので。それにダンには秘密です」

「なんで一輝がそんな嘘を俺にラインしてくんだよ。意味分かんねぇ」

そうだよね。ダンは何のことか分からないだろうね。

その嘘は一輝先輩からのエールなんだもん。