可愛いキミは、僕だけの××




もしかして、せんぱいが見たいものを私が遮っているとか?



後ろの人にぶつからない程度に下がってみて、何事もなかったかのように前を向いた。

でも、視線はまだ感じる。

ええっと………ものすごく見られているのはどうして?


あ、あの海の日の出来事を怒っている?

それとも、今までのせんぱいへの態度を振り返って何か癪に触ることがあった?


思い当たる節は、残念ながら溢れるほどある。

恥ずかしさが勝って可愛げのない態度を取ったし、突き飛ばしたり、逃げ出したり、色々と失礼なことをした。


それは怒るのも仕方ない。



ど、どうしよう!?
後で謝るので今だけは勘弁してください!!


情けない顔でせんぱいを見つめると、彼がキョトンとした顔をした直後にぶはっ、と吹き出した。


えっ、今のどこに笑う要素ありました?


今度は困惑した顔でせんぱいを見れば、さらに顔をくしゃくしゃにして笑う。

隣にいた彼の友達が気づいて私の方を見た。
そして、呆れた顔をしてせんぱいの肩を小突く。


せんぱいが少し涙目になりながら、私を指差して友達に何かを言っている。
その友達は相変わらず呆れ顔。


普段はポーカーフェイスな秋元せんぱいが珍しく笑ったからか、周り(主に女子)が動揺してざわつき始めた。

笑っただけで騒がれるとは、
イケメンってすごい。