そして、そのまま夏休みに入った。
もちろん、夏休みに入ってからは一度もせんぱいと出会う事はない。
週4日くらいバイトして、
それ以外は家で過ごしている。
私がバイトしてる喫茶店は、私と瞳さん、マスターと奥さんの4人でやっているんだけど、
瞳さんが受験勉強に専念するために、シフトを減らした分私が多めに入ってるという訳。
ちなみに今日は、瞳さんがいる日。
「ありがとうございましたー!」
午後6時、最後のお客さんが帰って閉店時間になった。
扉に引っかかっている『open』の看板を『close』にひっくり返す。
毎日暑いから、涼みに来る人が多いんだよね。
アイスコーヒーとか、冷たいものがよく売れる。
いつも通り、お店の前と店内を掃き掃除し終わったらカウンターの上にグラスに入ったはちみつ色の飲み物が置かれていた。
奥さんがサイフォンを水洗いしながら、優しく微笑む。
「2人とも、お疲れ様。
レモネード入れたから飲んでから帰ってね」
「ありがとうございます!」
さっそく席に座り、喉を潤した。
氷がカラン、と音を立てる。
うん、甘酸っぱくておいしい!
「ねぇ、希ちゃん。今度小羽ちゃんも誘って3人で海に行かない?
ちょっと、勉強の気晴らしに付き合って欲しいの。近くにアウトレットがあるから、水着買ってから行くのはどう?」


