「久しぶりだね希ちゃん」
「お、お久しぶりです」
「今、無言で立ち去ろうとしたよね?
ひどいじゃんか〜〜」
そ、そう言われましても、女子達から『私たちを差し置いて近づくな』オーラがビシバシ伝わってくるんですよ!
なーんて言えないから、乾いた笑いしか出ない。
「なぁ、寂しいよな?蓮夜」
戸梶先輩が秋元先輩の肩に腕を回すと、
うるさい、とすぐに払いのけられていた。
せんぱいは濡れてないけど、
きっと濡れててもかっこいいんだろうな。
さらに魅力が増して、
女の子がますます放っておかなくなっちゃう。
……何1人で想像して、勝手に照れてるのよ私。
「……あ、そうだ希ちゃん、この後」
「秋元くぅーん!戸梶くぅ〜ん!
髪の毛拭いてあげるからこっちおいでー!」
戸梶先輩が何か言いかけた時、
先輩女子達が声を遮るように呼びかけた。
手にはタオルを持ち、甘えた声を出してる。
………若干私を睨んで。
ひぇっ、早く帰ろう。
「……じゃあ、お先に失礼します」
「あっ!ちょっ、希ちゃん!
まだ話が終わってないよ!」
自分の身の安全の方が大事だから、
ごめんなさい!
なんか最近の私って逃げ出す率高いな、
と思いながら正門まで全力疾走する。
「………チッ、なんでいつも邪魔が入るんだよ」
「蓮夜、顔が超怖い」


