“彼”と言うのは、当然付き合ってる彼氏のこと。
そう言えば君島くんも出場してたんだ。
私がついて行く意味ある……?
返事をするまでもなく、腕を引っ張られて入場門付近まで連れてこられた。
「大和、頑張って!」
「負けないでね、仁!」
可愛い彼女の応援に気づいた荻野先輩と君島くんが、「ああ」とか「おう」って余裕そうに手を振っている。
……ように見えるけど、
顔が緩んでるのがバレバレだよ!
わぁ、いつもはクールな2人が今はでれっでれだ〜!
「いいなぁ、まじで羨まし!!」
「ちくしょう、俺もかわいー彼女欲しい!」
周りにいた同級生らしき男子達が2人をからかうけど、慣れているのかまったく動揺しない。
荻野先輩は「いいだろう、やらないぞ」とドヤ顔で返していた。
それは言いとして……さっきから周りからの視線が半端じゃない。
特に上級生から、誰あの子?みたいな視線が突き刺さって気まずい!
気まずいから先に戻ろうと思い、瞳さんを見たら荻野先輩と2人だけの世界に入っていた。


