私はと言うと、顔の熱が冷めるまでしばらく床で体育座りしている。
……言われなくても、好きな人だから心の中でこっそり応援するつもりでいたよ。
それなのに、本人から直接応援してほしいなんて台詞を言われたら、嬉しいに決まってる。
ああ、そわそわして落ち着かない!
せんぱい……そんな期待させるような事言ったら、勘違いしてしまいますよ?
『さぁ、やって参りました!みなさんお待ちかね、体育祭ラストを飾るのは学年対抗リレーです!!』
放送部のアナウンスが流れたすぐ後に、
女子のきゃああああ!!!!という悲鳴と
男子のうおおおお!!!!という野太い声が校庭中に轟いた。
す、すごい歓声だ!
入場門には、出場する生徒がみんな気合い十分といった様子で並んでいる。
せんぱいは城間先輩と戸梶先輩に肩を組まれながら、涼しい顔で立っていた。
でも、絶対勝つぞという思いが伝わってくる。
静かに熱い闘志を燃やしているのが、遠くからでも分かるもん。
最後までしっかりと見届けよう。
例の女の先輩をチラ見すると、ゴールテープの一番前という特等席を確保していた。
手にはタオルとスポーツドリンクを持っている、用意周到ぶり。
その様子を見て、ちょっとだけ気分が下がる。
「希ちゃんっ!」
「希おねーちゃん!」
明るい声が私を呼ぶ。
瞳さんとこはちゃんだ。
「私たち、彼に頑張ってって言いに行くから希ちゃんもついてきて!」
「ええっ!?」


