可愛いキミは、僕だけの××




ひっ、ひええっ!!?


顔のドアップに耐えきれず、
咄嗟に後ずさりする。


なんなんだ、この欠点がどこにも見当たらない甘いマスクは。

冗談抜きで、心臓がいくつあっても足りない。


私が真っ赤な顔で口をパクパクさせていると、
クスクスと笑われた。



「そんなに避けられたら傷付くなぁ」

「す、すみません!先輩がイケメンすぎてつい!」


「はは、何それ」


……な、なんか、機嫌なおった?

本音をポロッと口にしてみれば、先程までのふてくされたような顔とは打って変わって今は機嫌が良さそうに笑っている。


せんぱいって、こんなに表情がコロコロ変わる人だったっけ?



……私が知らなかっただけで、きっと歴代の彼女さんはもっと色々な表情を知ってるんだろうな。




考え事をしてたら、せんぱいの手が顎に添えられまた距離が縮まった。


「また、その顔」



やばい、近い、近い!キスしてしまいそう、



「どうして、そんな顔をするの?」


―――ドクン、ドクン

せんぱいの吐息が微かに触れる。




「この前も、悲しそうだった」


「こ、この前って?」

「予行練習の時」