可愛いキミは、僕だけの××




………うっ、かっこ良すぎて直視できない!

すれ違った誰もが振り返り、心を奪われる国宝級の美形を真正面から見るのは、心臓に悪すぎる。

何度も見てるけど、
改めて顔面偏差値の高さに気付かされた。


みるみる私の顔が、かあああっと顔が赤くなっていく。


せんぱいは私の手を握ったまま歩き出した。

いや、えっなんで!?




「せ、先輩!離してください!」

「嫌だ」

「ま、まずいですって!誰かに見られたら………」


「別にいいよ」

「私は良くないです……」

「なに、見られたくない奴でもいんの?」


はい、主にあなたに心酔している数え切れないほどの女子達に見られたら一巻の終わりです!!

せんぱいの口調がきつくなり、手を握る力が強くなった。


なんで怒っているのかさっぱり見当がつかないよ。


こんなところを見られたら、騒がれるのは間違いない。


ありもしないことを言われるのは困るんだよなぁ……

幸い生徒のほとんどは校庭に向かっていて、誰にも会わなかった。


訳が分からないまま、せんぱいに連れられて使われていない空き教室の中に入った。


ガチャッ


施錠した音が、沈黙の中に響く。



どうして密室でふたりきりになって、鍵を掛けられてるのかな。



頭の理解が追い付かないし、なぜか後ろを振り向けない。


すると、目の前に透明感のある黒髪と綺麗な琥珀が目に入った。

せんぱいに顔を覗き込まれている様子。