可愛いキミは、僕だけの××




―――キーンコーンカーン


お昼終了を告げるチャイムが鳴った。


「私、ちょっと飲み物を買ってくるね!」

「行ってらー」


私は裏庭にある自販機へ向かい、スポーツドリンクのボタンを押すと、ガコンッという音と共にドリンクが出てきた。

これが最後の一個だったらしく、売切れの赤いランプがつく。


「ラッキー。いいことあるかも!」


なんてね、と一人笑いながらペットボトルを取り出して、後ろを振り向いたその時






「残念。俺もそれ狙ってたのに」



ジャージを着た秋元先輩がすぐ近くにいて、
息が止まるかと思った。



ポケットに両手を入れ、モデルのごとく壁に寄りかかっている。

せ、せんぱい!

驚きのあまりに、私はそのまま固まってしまった。


壁に寄りかかっていたせんぱいがゆっくりとこちらに近付いてくる。



………あ、自販機使うのか。私、邪魔だね


ペコッと頭を下げてから、目の前を通り過ぎようとしたらすぐに腕を掴まれた。



「君は、僕が近付くといつも逃げようとするね」



“逃がさない”と言っているように、手のひらをぎゅと握られ、指を一本ずつ絡め取られる。



なっっ、なななに!?
手を繋がれたんだけど!



図書室といい、今といい、この人は少し異性に対して距離が近過ぎない!?

……モテるイケメンというのは、誰にでもこういうものなの?

そして、ぐいっと引っ張られ正面を向かされた。

綺麗なアンバーの瞳が、私をとらえる。