「その方がサウスマルケリアの王が申されていた男か」
お父様はあえて彼の名前を出さなかったわ。
歓迎の意も内に秘めて、憮然とした顔で。
まぁ、それはそうよね。
この場にいるべきでない、相応しくない人物が紛れ込んでいるのだから。
「お初にお目に掛かります。 サウスマルケリアから参りました、ユリシス・ハワードと申します。 父の爵位は公爵でございますが、私は騎士団にて修行の身。 このような縁を頂けて光栄でございます」
「ほぉ……光栄、か。 そなたは心にも無い事を平気で申されるのだな」
お父様が怒りはしないか、と内心の動揺を隠せなかった。
破談になればいいと思ったのは確か。 それも円満での解決。 なのにこのままでは彼の処罰が待ち受けているわ。
そうなると、二国間での問題が起きるのは間違いない。 それだけは駄目よ。
謁見の間で控える護衛の者達、携える剣を握り直したのが目に入った。 大臣以下側近達も目の色が替わったわ。
お父様の感情が伝わって来たのね。
お父様はあえて彼の名前を出さなかったわ。
歓迎の意も内に秘めて、憮然とした顔で。
まぁ、それはそうよね。
この場にいるべきでない、相応しくない人物が紛れ込んでいるのだから。
「お初にお目に掛かります。 サウスマルケリアから参りました、ユリシス・ハワードと申します。 父の爵位は公爵でございますが、私は騎士団にて修行の身。 このような縁を頂けて光栄でございます」
「ほぉ……光栄、か。 そなたは心にも無い事を平気で申されるのだな」
お父様が怒りはしないか、と内心の動揺を隠せなかった。
破談になればいいと思ったのは確か。 それも円満での解決。 なのにこのままでは彼の処罰が待ち受けているわ。
そうなると、二国間での問題が起きるのは間違いない。 それだけは駄目よ。
謁見の間で控える護衛の者達、携える剣を握り直したのが目に入った。 大臣以下側近達も目の色が替わったわ。
お父様の感情が伝わって来たのね。