お母様の衝撃の事実を告げられて、何秒間か固まった。

 おっかしいな〜。なんか変なこと言われたような…。お母様がレクイエム帝国の元第一王女で、私たちは王子と王女だって…。
 

 「はっ…?え、ちょっ…はぁ〜!?」

 思わず淑女らしからぬ声を出してしまった。

 「まぁ、アンジュが驚くのも無理はないわ。」
 
 いつもどうりに戻ったお母様が言う。

 あぁ、良かった…。なんかさっきは元第一王女としての威厳とか色々感じちゃって、緊張したから、いつものお母様に戻ってくれたほうが安心できる。
 
 というか、なんで黙ってたんだ?
 本来なら、もう少し大きくなってから伝えられるみたいだったらしいし。

 「貴方達が、全てを呑み込むことができるよう
 になってから、と思っていたのよ。」

 な、なるほど…。
 
 「つまり母様、僕らが他国の王族だから、この
 国、ディアマンテ王国の王族は下手な対応が出
 来ない、ということですね。」

 あ、そうか。
 確かに、他国の王族に何かあったら国際問題になるものね。

 レクイエム帝国は1番の大国だって最近教わった。つまりさ、もし、乱戦になった場合、あっちが勝つ可能性が高いわけ。できるなら友好関係でいたい帝国に喧嘩を売るようなマネはしたくないから、私たちに対して無理矢理に捕獲はしない…ということらしい。
 
 まぁ、ウチがどっち側で参戦するかが勝敗を左右するんだけどね、どっちにしても。

 って、それはひとまず置いといて。

 

 「何故、レクイエム帝国の王女であるお母様が
 隣国ディアマンテ王国のエルドラード公爵家に
 嫁いだのですか?」
 

 まぁ、それが気になるわけですよ。

 この世界は男女比5︰1で、女性はとても貴重らしいでしょ?
 だから、それはもう、たいそう甘やかされて、大切に育てられるようだ。


 そんな大事な大事な女性で、しかも、王女だったお母様が隣国の公爵家に嫁ぐだなんて、相当な理由があったに違いない。


 「そうね~。……簡単に言えば、ふたりともひ
 と目で恋に堕ちたから、かしら。」


 「あぁ、俺がレクイエム帝国に外交官として訪
 れた時に初めて会ってね。ひと目見て、この人
 が運命の人だと思ったよ。」

 
 「へぇ〜!」
 
 
 2人にそんなことがあっただなんて。リアル恋話だ~!しかも、激甘のやつの予感…。
 う〜ん。というか、両親の恋話とか結構気まずいのは私だけ?

 …あ、ザライド兄様がいたわ。
 兄様、気まずそうに目をキョロキョロとさせてるよ。あぁ、お母様達全然気付いてない。もう既に2人の世界に突入してるよ…。


 何このカオス状態。

 てか、最初の話題何処いった?

 誰かどうにかして〜!!