(仮)愛人契約はじめました

「いえ、別に。
 私にとってはそんなに嫌な思い出ではないので」

 そう言うと、蓮太郎は黙って頭を撫でてくれたが。

 いや、本当だ、と唯由は思っていた。

 あのまま、あそこにいるのは、いろんな意味でしんどかったが。

 あの人たちが嫌いかと問われたら、そうでもない。

 唯由の頭を撫で、軽くぐちゃぐちゃにしながら蓮太郎は言う。

「ちょっと不安だったんだ。
 お前がシンデレラなら、いつか、かぼちゃの馬車が現れて、お前を連れ去ってしまうんじゃないかって」

 ……いや、かぼちゃの馬車って、そんな自由意志で動くシロモノでしたっけ?