(仮)愛人契約はじめました

 


「コンパのとき、お前の方のグループにいた誰だか知らない人?」

 知るか、そんなもの、と昼休み、リラクゼーションルームにいた蓮太郎に言われてしまう。

「そうか。
 そうですよね」

 リクライニングチェアで目を閉じたまま蓮太郎は言う。

「誰だか知らない人は誰ですかと問われて、答えられたら俺は神だろう」

 そうですよね~、と唯由は苦笑いしながら繰り返した。

「その人、王さ……、雪村さんと合流する前に私の隣に座ってた人なんですけどね」

 と言ってもわからないですよね、と言いかけたのだが、蓮太郎は目を開け、
「ああ、顔はわかった」
と言う。

 何故だ。
 合流する前の話なんですけど……と思っていると、蓮太郎が立ち上がった。

「悪かったな、昨日。
 触れなくていい話に触れてしまって」