(仮)愛人契約はじめました

「そもそも私、可哀想な感じではないですよ」
と言うと、そうだ、と蓮太郎がこちらを見て言った。

「そうだ。
 お前を乗せよう」

「……警察に捕まります」

 結局、荷台には乗らずに助手席に乗り、アパートまでの短い道を走った。

 いや、この道をどう迷ったんだ。

 違う意味で天才だと思いながら、唯由は言った。

「なんか学生時代を思い出しますね。

 小学校のときとか、友だちとしゃべり足りなくて、行ったり来たり、お互いを送り合ったりしてたんですよね」

「じゃあ、またパーキングに戻ろうか」

「いや、なんでですか……」

「お前と話し足りないからだ」

 ……いやいやいや、なにをおっしゃってるんですか、と照れながら唯由は言う。

「明日、遅れますよ」

 もうアパートの灯りは見えていた。

 蓮太郎が難しい顔で言ってくる。

「ついて欲しくないな」

 どきりとしてしまった唯由に蓮太郎は言う。