(仮)愛人契約はじめました

「よし、じゃあ、駐車場まで行こう」
と言いながら、蓮太郎は手を握ろうとする。

 唯由は思わず、その手を振り払っていた。

「なにやってんだ、愛人のくせに。
 遠慮なくベタベタしろ」

 そう言うわりには、蓮太郎は最初の頃より腰が引けているように見えた。

 握らないと悪いだろうか、と唯由は思い、その手をそっと握ってみる。

 蓮太郎の手はすぐには動かず、少し迷うような間のあと、ぎゅっと強く握ってきた。

 こちらを見ずに歩き出す。

「そうだ。
 お前、なんでガチャガチャの入れ物持ってたんだ?」

「ああ、従兄弟が買ったときカラを持たされて」

「ふーん。
 面倒見がいいんだな」

「……いや、面倒……は見てないかもですが」