(仮)愛人契約はじめました

「お前が俺を駐車場まで送る。
 そのお前を俺が此処まで送る。

 そしたら、ちょっと長く一緒にいられるな」

 いや、なに言ってるんですか、と唯由は赤くなった。

「あ、でも、そういえば、アパートの前とめれますよ、車」

 なにっ? と蓮太郎が唯由を見る。

「一部屋に一台分駐車場ついてるので」
と唯由は植え込みの角のスペースを指さした。

「何故、今まで言わなかったんだ……」

 いや、何故、いつも予告なしに来るんだ……と私の方が言いたいですが。

「此処に……、誰か他にとめる奴とかいるのか」

「いませんよ。
 引っ越してから、まだ誰も……

 ああ、引越し業者さんがとめましたね。
 まあ、そんなに荷物はなかったんですが」

「そうか。
 じゃあ、お前の駐車場とめる権利は俺だけのものな」

 なに子どもが陣地を争うみたいに、と唯由は笑ってしまう。