(仮)愛人契約はじめました

 でも、なにかちょっと泣きそうになってしまったので、つい、側にあった蓮太郎の腕をつかんでしまう。

 ところが、蓮太郎は後ずさり、逃げかけた。

「みだりに男に触れるのはどうかと思うが……」

 いや……私、あなたの愛人ですよね?

 っていうか、ちょっと感謝の意を表してみただけなんですけど、と思いながらも、唯由は手を離し、ちょっと笑った。

 二人でまた、明るい国道沿いの道を歩き出す。

「そうだ。
 努力の甲斐あって、『い』で『唯由』が一番に候補に出るようになったぞ」
と言う蓮太郎のしょうもない話を聞きながら。