(仮)愛人契約はじめました

 


「まあ、あのたこ焼き冷え切ってたからな」

 駅の近くの屋台の豚骨ラーメンを食べながら、蓮太郎は言う。

「なんで冷え切っ……」

 ……てたんですか、と訊きそうになり、言葉を呑み込んだ。

 迷子になっていたことは明白だったからだ。

「何故、お前はあんなわかりにくい場所に住んでるんだ」
と蓮太郎は文句を言ってくる。

 いや、大きな道路から一本入った場所で、しかも、曲がり角にスーパーがある、ものすごくわかりやすい場所なんですが、と思っていたが。

 それを言うのも悪いので、
「すみません」
と謝ることにした。

 蓮太郎は沈黙している。

 あのたこ焼きに心残りがあるのだろうかと思ったが違った。

「お前に言ってはならないことを言いたいんだが、どうしたらいいと思う?」