(仮)愛人契約はじめました


 

 夜、唯由は物思いに(ふけ)りながら、アパートの窓からレースのカーテン越しに月を見ていた。

 そろそろカーテン閉めなくちゃ、と窓辺に寄ると、いいソースの香りがしてきた。

 ん? ソース……? とレースのカーテンを開け、下を覗くと蓮太郎がしゃがんでいた。

 地面にはたこ焼きらしきものが散らばって落ちていて、猫がソースを舐めている。

 猫に驚いて落としたのか、つまずいたりして自ら落としたのか。

 なんだかわからないが、いろいろあったようだ……。 

 蓮太郎がこちらに気づいて立ち上がると、猫は逃げていった。

 そのたこ焼きをささっと片付け、ビニール袋に突っ込むと蓮太郎は言った。

「ラーメン食べに行かないか?」

 ……たこ焼き落としたからですね、と唯由は思っていたが、突っ込まず、

「はい」
と言って頷いた。