(仮)愛人契約はじめました


 


「ねえ、れんれん」

 蓮太郎がリラクゼーションルームの椅子で寝ていると、紗江がポーションタイプのコーヒーミルクを手に呼びかけてきた。

 もう、れんれんになってる、と思いながらそちらを見ると、紗江はミルクの容器を開け、手の甲に塗りながら言う。

「さっき、アイスコーヒー飲んだとき、これ、使わないまま、テーブルに忘れてたの思い出して、とりにいったんだけどさ。

 道馬くんと姫が話してたよ」

 姫とは、唯由のことらしい。

「なんで姫なんですか?」
と訊くと、

「え? れんれんが人生で初めて見つけたお姫様だから」
と紗江は言う。

「……愛人ですよ」

 あるいは下僕、と思いながら蓮太郎は言ったが、

「姫は蓮形寺家のお嬢様なんだってさ。
 蓮形寺って名前、聞いたことあるなって思ったんだよね。

 れんれんち付き合いあるんじゃないの?」
と紗江は言う。