(仮)愛人契約はじめました

「手頃なイケメンって?」
となんとなく問い返した唯由の頭には、この間アパート近くの八百屋で見た、

 お手頃価格、と書かれたたくさんの小さなメロンが浮かんでいた。

「あ、ほら、あの人とか。
 道馬(みちば)さん」

 広い社食の中、正美が指差した先には、スーツが似合って、笑顔が素敵な長身イケメンの人が立っていた。

 なにもお手頃そうじゃないですけどっ!?

 と思ったのだが、単に、社交的で、話しかけやすいのだと言う。

 確かに……。

 王様、なにも話しかけやすそうじゃないし、お手頃そうじゃない……。

 コンパで近寄るなオーラを出して、ほぼ男性陣としか話さないまま呑んでいた蓮太郎を思い出す。

 愛人探してたんなら、もうちょっと愛想良くした方がよかったのでは、と思いはしたが。

 蓮太郎の性格をそこそこ知った今となっては、女性に、にこやかに応対する蓮太郎がまったく頭に浮かばない。