(仮)愛人契約はじめました

「お疲れ」
と白衣を着ていない蓮太郎が唯由に気づいて言う。

「おっ、お疲れ様です……っ」
「お疲れ様です~っ、雪村さんっ」

 強張(こわば)った唯由の挨拶とは真逆の愛想の良さでみんな挨拶している。

 蓮太郎、紗江、初めて見た感じのいい若い男の人、そして、何故か唯由の方を見て、にんまり笑う研究棟の事務員さんたちがいた。

 それぞれに挨拶し、すれ違う。

 みんな社食の入り口の短い階段を上りながら、蓮太郎たちを振り返っていた。

「初めて社食で雪村さんに会ったね~。
 ラッキー」

「やっぱ、昼時間ずらしてるんだ。
 でも、我々はこれ以上早くは来れないよね~」

 などと話している友人たちに、あの~と唯由は訊く。

「みんな、王さ……

 雪村さん、知ってるの?」

「あの人知らないとかあるの?
 この会社にいて」

 ……ありました、私。