(仮)愛人契約はじめました

 電話は鳴っていなかった。

 ……よかった、よかった。

 うん。
 よかったな……と唯由が思ったとき、誰かがなにかを叩く音がした。

 ええっ? なにっ? と慌てて服を着て出る。

 道に面している方の窓を叩いている人が居るようだった。

 変質者っ!? ……か、

 王様っ?
と変質者と王様を同列に扱いながらカーテンを開けてみる。

 スーツ姿の蓮太郎が外に立っていた。

 これ以上叩かれてはかなわないと、唯由は慌てて窓を開ける。

 すると、ソースのいい香りが漂ってきた。