(仮)愛人契約はじめました




 案の定、上手く休憩時間がとれなかった蓮太郎は、とっぷり日が落ちた頃、ようやくリラクゼーションルームに向かった。

 おっと、スコップないから埋められないとか言ってたな、と思いながら、事務室に行って訊いてみたが、自分宛の書類は預かっていないと言う。

「ほんとうに訪ねて来ませんでしたか?
 白いシャツにグレーのスカートの、なんかすごく可愛い女子社員」

 大真面目にそう説明して、何故か事務員さんたちに吹き出される。

「来なかったわ、すごく可愛い女子社員」
と仲のいい母親くらいの年の事務員、梅田(うめだ)に言われた。

「そうですか、ありがとうございます」

 そう言い出ていくと、後ろが騒がしくなった。

(れん)くんが『可愛い女子社員』だってっ。
 誰っ!?」

「いやいや、違いますよっ。
 『すごく可愛い』ですよっ」

「あの人、女性をそんな風に認識できたんですねっ」

 頭いいけど、そういう能力はないのかと思ってた、とか無茶苦茶を言われている。