唯由のスマホを手から離させた。

「なに他の男の顔をじっと見てんだ」

 いえいえ。
 やっぱり、雪村さんが一番格好いいかな、と思ってたんですよ、と思ったが。

 蓮太郎の機嫌を直すために、その言葉を口にするのも恥ずかしい。

 チラ、と唯由が赤くなって蓮太郎を見上げると、なにも言わなくても、なにかが伝わったのか、蓮太郎の機嫌は直り、ちょっと照れたような顔をした。

「そうだ、蓮形寺。
 お前、俺のスマホの予測変換が面白くないと言うから、いろいろ覚えさせてきたぞ」

 その予測変換、もはや、予測変換ではないし。

 便利な機能ではなくなってますよね。

 打ち込むとき、いつも使う文字や、一般的に使われやすい文字が出てきて便利なのが予測変換なのでは……。

 だが、蓮太郎は気にせず、スマホを渡してくる。

「あいうえおの順に入れてみろ」