何処かで見た黒い手入れのいい車だ。

 よく見れば、唯由の部屋に男の物らしき人影がある。

 急いで、
「蓮形寺っ」
と駆けつけると、唯由と大王直哉がキッチンで、何処のスーパーの漬物がおいしいか、真剣に話し合っていた。

「直哉~っ」

 ん? と振り返ったふたりに蓮太郎は叫ぶ。

「今、蓮形寺の駐車場に止める権利は俺だけのものと思ってたのに、執事が先に止めるな~っ」