「駄目だ……」
 横から覗いた道馬が呟いた。

「蓮形寺さんと、何処かの王様で埋め尽くされている……」

 それは執事長と執事さんとですよ……。

 蓮太郎の履歴は、唯由と大王親子でいっぱいだった。

「あの、雪村さん。
 連絡先にある心当たりのない名前が自転車の人なのでは」

 唯由がそう言うと、なるほど、と蓮太郎はスマホを確認し、手帳にその心当たりのない名前を書き出していた。

「知らない奴が五人いた。
 この中の誰かだな」

「……なんで自分のスマホに知らない奴の名前がそんなにあるんだよ」

 誰なのか、スマホにメモしとけ、と道馬は言ったが、並んだ名前を見ていた唯由は、あっ、と声を上げた。

 和久井聡
 吉村元太
 藤宮龍樹
 山本義之
 鈴井道隆