(仮)愛人契約はじめました

 そうですよ。
 どうやって連絡してくるつもりだったんですが。

 やはり、いきなり家ですか、と思いながら言った。

「今、スマホ持ってないんで。
 番号覚えてません」

 持ってなくてちょうどよかった、と思う唯由に、蓮太郎が言う。

「俺も今持ってないが。

 大丈夫だ。
 内線電話でかけるから」

 ひっ。
 私用でのご使用はおやめくださいっ、と唯由は固まった。

「でっ、でも、私が何処の部署かもご存知ないでしょう?」

 今田さんを口止めしておかなくてはっ、と焦る唯由に、蓮太郎は、
「問題ない」
と言う。

「お前が教えなくても、人事に訊くから。

 変わった名前だ。
 幾ら社員が多くても、一発でわかるだろう」

 人事、秘書室のすぐ側ですしね~。
 すぐわかりますよね~、と思った唯由は観念した。