(仮)愛人契約はじめました




 なんか持ってもらって申し訳ないな~と思いながら、唯由はキャリーバッグを引っ張ってくれる蓮太郎の横を歩いていた。

「一泊だよな?
 なんでこんなにいっぱい荷物があるんだ?」

「あ、えっと。
 移動中とか夜やろうかと思って、ゲームとかトランプとか持ってきたんです」

「学生か」
と蓮太郎に言われたが、

 いやいや、話が途切れて緊張しないようにですよ、と唯由は思っていた。

「ゲームって、まさか、叩いて殴って、じゃんけんぽんじゃないだろうな」

 唯由は、ははは、と笑って言う。

「やだな~。
 叩いてかぶって、じゃんけんぽんですよ~」

「……いや、お前が言ったんだよな」

 そうでしたっけね? と思いながら唯由は淡いイエローのキャリバーグを見て言った。

「ハリセンは入ってないですよ。
 まあ、ハリセンも兜も現地で作れますけど。

 あれ、盛り上がりますよね~」

「そういう盛り上がりは男女の旅行には不必要だと思うが……」

「そうなんですかね?
 楽しいのはいいことだと思いますが。

 楽しい記憶が多い方が、きっと、この旅行、いい思い出になりますよ」
と笑うと、蓮太郎はちょっと照れたように、

「……そうだな」
と言う。