(仮)愛人契約はじめました

 いや、しまった、ではない。

 愛人なんだから、キスしてもいいはずだ。

 だが、唯由は照れている。

 そして、自分も照れている。

「か、帰ろう、もうっ」
と蓮太郎は立ち上がった。

 だが、唯由は、
「帰しませんっ」
と腕をつかんでくる。

 お前、照れながら、なにを言っているっ、と思ったが、唯由は叫んだ。

「デザートにゼリーを作ったんですっ。
 もうできた頃ですっ。

 食べるまで帰らないでくださいっ」

 全部食べていただくまでは帰しませんっ、と言う勢いの唯由に、

 ……確かにせっかく作ってくれたのに悪いな、と思った蓮太郎は、結局戻って食べた。

 お互い目も合わせないまま、チャカチャカと急いで。