(仮)愛人契約はじめました

 どんな風に唯由の気分を良くさせる褒め言葉を言っているのか、蓮太郎は、義母、虹子(にじこ)に訊いてみた。

 だが、虹子は機嫌悪そうに、
「知らないわよ、そんなこと」
と言ってくる。

「私は思ったままを言ってるだけよ。
 あなたも思ったまま言いなさいよ。

 唯由さんの料理になら、幾らでも褒め言葉は出てくるでしょう?

 唯由さんはあなたが好きなんじゃないの?
 あなたが言えば、なんでも喜ぶわよ。

 もう切るわよ。
 充分な睡眠をとらないと肌が荒れるのよっ」

 一気にそうまくし立てられる。

 横からまた唯由が口を挟んできた。

「お義母さま、すみませんでした。
 今度、安眠できそうな真正ラベンダーのオイルでも送っておきますね」

「そんなものより、早く三条に料理を届けさせなさいっ。
 切るわよっ」

 虹子がそう叫び、電話はほんとうに切れた。